悲しい…おいしい…命実感 育てたアイガモ 遠賀高生が調理 卵から世話、研究集大成

遠賀町の遠賀高校グリーンサイエンス科3年生が19日、課題研究として取り組んだアイガモ農法の集大成として、育ててきたアイガモを自分たちの手でしめて、食べる体験学習を行った。生徒は、悲しみとおいしさを味わい、命のありがたさを実感した。

 アイガモ農法研究班は8人。今年4月、同町の有機農家・筋田靖之さん(56)の指導の下で課題研究をスタート。アイガモの卵をかえし、ひなには1匹ずつ砂糖水を与えて育て、泳ぎの練習もさせた。6月から稲刈り直前まで田んぼで雑草など食べさせ、夏休みの間も欠かさず毎朝夕、エサをやって世話をした。

 筋田さんは「アイガモ農法はアイガモを食べて終わる」と、この農法の意義を説明。いざ食べる時期になると、抵抗もあったが、それぞれが命や食について考え、受け入れた。この日、生徒たちは一様に複雑な表情。時には涙ぐむ場面もあったが、自分たちの手でアイガモの命を絶ち、解体し、調理もこなした。

 アイガモはたたき、焼き鳥、団子汁にし、無農薬で作ったご飯とともに食卓に。全員で「いただきます」と手を合わせ、ほおばると「おいしい」と、笑顔が浮かんだ。

 河野真希さん(17)は「食べればおいしいが、アイガモの命を絶ったときの悲しい気持ちは忘れない。普段の食事の背景にあるものを知ることができた」と話した。

=2009/11/20付 西日本新聞朝刊=

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