地球と暮らす:/105 丸本酒造 自家有機米で酒造り

<水と緑の地球環境>

 日本酒の味を決めるお米。醸造会社「丸本酒造」(岡山県浅口市)は防虫剤や除草剤を一切使用しない有機米から日本酒を製造している。

 蔵元は米選びにこだわるが、「米作りは農家、酒造りは蔵」と法的にしばられていた。丸本酒造はその流れを変えようと関係者に働きかけていたところ、浅口市(当時の鴨方町)は03年、国の構造改革の一環で、全国で初めて酒造会社が直接原料米を栽培できる「酒米栽培振興特区」に認定された。丸本酒造は遊休農地で本格的に自家栽培に着手し、07年から日本農林規格(JAS)認定の有機米を収穫した。

 有機米と認められるのは容易ではない。2年以上農薬や化学肥料を使用しない田んぼで生産しなければならない。加えて、農薬を使っている周囲の田んぼから水が流れ込まない場所を選ぶ必要がある。大量の雑草を取り除くため、気温が40度になる真夏も、社員総出で草取りに追われる。化学肥料の代わりに、刈り取りまでに3回苗を枯らして養分を確保する「三黄造(さんおうつく)り」にも取り組んでいる。

 現在2・5ヘクタールで年間125俵分の有機米を生産。石油原料の化学肥料を使う場合の田んぼに比べて750キロの二酸化炭素排出減という。

 有機米作りのきっかけは、丸本仁一郎社長(46)が数年前に日本酒の販路を海外にも広げようと欧米を訪れたことだった。そこで、「消費者はオーガニックにこだわっている」と痛感。長女がアトピーを発症していたことも環境への関心を高めた。

 日本には2000軒近い醸造元があるが、有機米で日本酒を製造しているのは10軒程度という。丸本社長は「安全・安心とおいしさを追求した日本酒を通して、他の醸造元や消費者が環境を意識するようになってほしい」と話す。【田中泰義】

==============

 江戸時代末期の1867年に創業した。蔵など11施設は、田園と一体になった歴史的景観を保ったとして、国の有形登録文化財に指定された。有機米の商品は「農産酒蔵」「竹林かろやかオーガニック」(720ミリリットル、2478円)。問い合わせは丸本酒造(電話0865・44・3155)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA