寒波のプレゼント 伊佐市の山あいに氷の芸術

伊佐市最北部、標高450メートルの山間部に位置する布計集落で8日、ここ数日の厳しい冷え込みがもたらした氷の造形がみられた。
 県道布計山野線金山橋沿いの草地では、配水管から漏れて噴き出した水しぶきが雑木の枝や雑草をつらら状に凍らせ、高さ3メートル、幅4メートルの自然の“芸術作品”をつくった。つららは長いもので2メートル近いものも。
 近くの商店経営村上文枝さん(79)は「今朝の室内の気温は2度。今年は寒い日が多く、いつもよりストーブ用の灯油の消費が早い」と話した。
 鹿児島地方気象台によると、県内の寒気は9日からいったん緩むが、12日夜から再び、冬型の気圧配置となり冷え込む見込み。

坂戸・すみよし桜の里:ゼロから観光地作り 住民の手で見物客2万人に /埼玉

坂戸市塚越地区で、住民が「飯盛川」の荒れた土手に早咲きのサクラを植え、ゼロからの観光地作りを進めてきた。近くに大宮住吉神社があることから、今では「すみよし桜の里」と呼ばれ、「一足早い春を楽しめる」と県内外から観光客が訪れるようになった。市観光協会は、近くのイチゴ農家や日本最大級の台湾式宮殿「聖天宮」と連携した観光ルート作りを進めたい考えだ。

 03年、葦(あし)や雑草が生い茂り、防犯や防災、景観の面でも課題のあった荒れた河川沿いを、「人の集まる観光地にしよう」と地元の60歳前後の約30人が「すみよし花卉(かき)愛好会」(矢沢儀一会長)を設立した。

 その年の春、1本1万円でサクラのオーナーを募り、若木を約1キロに120本植樹した。サクラは、2月末~3月中旬に咲く大島桜と寒緋桜(かんひざくら)の交配種にした。夏には隣接する休耕田に4000株のショウブも植えた。サクラは4年後に咲くようになった。

 花見の季節になると、テントに長テーブルと椅子を置いた休憩所で、炭火の焼き鳥やだんご、うどんなども販売しながら「お客さんにできる限りのおもてなしを」と見物客を迎えている。

 「車椅子でも近くで花を見られるように」と、鉄板を並べて遊歩道も整備しており、メンバーが車椅子を押して歩くサービスもしている。

 坂戸には観光名所が少なく、観光はよさこい祭りなど「イベント主体」(市観光協会)。そこで観光協会も観光業者らに直接PRするなど「すみよし桜の里」を全面的にバックアップしており、昨春の見物客は2万人を超えた。

 愛好会の矢沢会長は「我々がいなくなった後もこの里を守る人を作るのがこれからの課題。10年、20年後でも多くの人が訪れる名所になっていてほしい」と話している。【鷲頭彰子】

箱根駅伝:“雑草軍団”東洋大、強さの秘密とは?

【箱根駅伝】昨年勝つまでは、60回以上出場しているチームで唯一優勝のない学校だった。それがあっさりと連覇を飾れたのは、勝利を目指す態勢の結実があった。

 02年にシドニー五輪男子マラソン代表の川嶋伸次氏が監督に就任後、大学の川越キャンパス内に全天候型のトラックやナイター設備が完成。練習場所を探し歩く必要がなくなり、朝練などが自分たちのペースで行えるようになった。また、箱根の山を走る選手が新潟・旧山古志村で1週間の夏合宿を張るのも恒例行事となった。アップダウンのある9キロのコースを1日5本。この特別合宿が“新・山の神”柏原の驚異の脚力を生み出した。そうした土台の上に酒井監督の指導が上積みされた。

 昨年と同様に高校時代に主要大会に出場したメンバーはほとんどおらず、柏原も例外ではない。スカウトを手掛ける佐藤コーチは「記録にとらわれずにいい選手がいると聞けば足を運ぶ。誰も声を掛けないような選手じゃないとうちに来てくれないしね」と笑った。箱根の優勝効果で声を掛けた高校生の入学率も上がっているというが、佐藤コーチは「うちのパターンは変えたくないね」と語る。雑草軍団をしっかりとした環境で育てる。そうすればエリートランナーにも負けないことを連覇で証明した。

 <食事も管理徹底>選手の健康管理のため、酒井監督が新たに始めた決まり事がある。自分の食べたものを毎日写真に撮って監督に報告する「食日記」だ。それを監督が栄養士に見せて助言を受け、個々に応じてアドバイス。食生活を改善させ、各自の血液データや骨密度まで調べて体調管理に生かした。アンカーを務めた高見は「優勝できたのは秋になってもケガをした人がいなかったのが大きい」と成果を話していた。

 ▼東洋大 1887年(明20)に哲学者の井上円了によって創設された哲学の専修学校「哲学館」を前身とする総合大学。文学、経済、経営、法学、社会学、ライフデザイン、工学、国際地域、生命科学などの各学部があり、09年度の学生数は2万7678人。本部は東京都文京区白山、竹村牧男学長。陸上部は埼玉県の川越キャンパス内にグラウンドを持ち、合宿所も併設されている。野球、アイスホッケー、相撲なども強豪。(スポニチ)

2010年1月4日

【高校サッカー】矢板中央、無欲の快進撃で初の4強入り

 「信じられない。国立は私にとっても小さいころからのあこがれの地ですから」。高橋監督も興奮を抑えきれない。矢板中央が広島観音の県勢連覇の夢を打ち砕き、初の4強。栃木勢としても1985年度の宇都宮学園以来、24大会ぶりの国立切符だ。

 後半6分に先制を許してから逆襲が始まった。16分、途中出場のMF島野のゴールで追いつくと、30分にはMF益子直が左足でこん身の逆転弾。個々の能力では相手が上回っていたが、須藤主将は「最後まであきらめず、気持ちをひとつにできたことが逆転につながった」と胸を張った。

 前評判は決して高くなかった。夏の高校総体は県予選準々決勝で敗退。関東プリンスリーグも12チーム中11位に終わった。ふがいなさにショックを受け、10人以上の3年生が引退。「方向性が見えなくなり、バラバラになった」と高橋監督は振り返る。それでも残った3年生を中心にミーティングを重ね「ウチはスター選手がいない。全員でサッカーをしよう」と再結束。「ここまで成長してくれるとは」と指揮官も驚く快進撃を呼び込んでいる。

 この日の試合前、栃木県出身のお笑いコンビ「U字工事」から激励の動画メッセージと色紙が届いた。会場には高橋監督の母校である矢板東高の応援団も駆けつけた。地元の期待も高まる中、ほとんどが地元出身の“雑草軍団”は、夢舞台でも全員サッカーを貫くつもりだ。(森本利優)