7月1日21時49分配信 京都新聞
国の特別史跡・彦根城の堀などでの魚釣り行為を禁止する滋賀県彦根市「釣り禁止条例」が1日、施行された。堀の石垣では伸びた草が刈られ、世界遺産登録を目指して景観や風情を保全する動きが広がっている。
釣り禁止条例の規制エリアは、魚がいる城の内堀、中堀、玄宮園の池の計15万平方メートル。さお、投網、手づかみで魚を捕獲することや、類似行為を禁止している。違反者には止めるよう促し、応じない場合は警察への通報や、1万円以下の罰金を科す。
堀周辺は観光客や散策の市民らが通ることから、釣りをやめるよう市職員が注意してきた。しかし今年4~5月のパトロールでは計55人の釣り人を発見、増加傾向という。
市文化財課は「堀での釣りは、彦根城の風情を損なうだけでなく、木や電線に残った釣り糸やルアーが人や水鳥を傷つける危険性も高い」と話し、条例の施行を機にパトロールを強化する。
この日は、堀の石垣で草刈りも行われ、城の南側の京橋口門周辺では命綱を付けた作業員が高さ約6・5メートルの石垣に張り付き、上下に移動して、石のすき間から伸びた雑草をきれいに切り取った。