刈り取った雑草、燃え広がる

綾部の由良川河川敷
 23日午前11時過ぎ、京都府綾部市大島町の由良川河川敷から出火、雑草など約600平方メートルを焼いた。けが人はなかった。綾部署によると、近くの住民が以前に刈り取った雑草を燃やしていたところ、燃え広がったという。

懸命の集客作戦

中部国際空港の開港をきっかけに大規模開発をもくろんだ地元・愛知県常滑市の計画は、予定通りに進んでいない。

 空港対岸部の広大な前島(123ヘクタール)は、企業進出の起爆剤と期待されたショッピングセンターのイオンモールの進出が消費低迷を理由に大幅に遅れ、一面に雑草が生い茂っている。

 前島にホテルを建設した不動産会社社長の坂田勇さん(60)は一部を介護施設に切り替えた。「すべてはイオン待ち」と渋い顔だ。

 空港の商業施設では、恐竜の模型や化石、実験器具を販売する教育雑貨店が注目を集め、県外から学校関係者が訪れるほどだったが、21日限りで閉店する。「全国の人に店を知ってもらったが、この不況では」と後藤健太郎支店長(29)は残念そうだ。

     ◎

 開港前、常滑市は空港関連の税収を年間70億円と見込んで市債などを発行し、公共下水道やニュータウン開発にこれまで約290億円をつぎ込んだ。しかし、実際の税収は40億円と目算が外れ、人口5万5000人の市に借金返済が重くのしかかる。

 三重県伊勢市では、中部空港と同市の宇治山田港を結ぶ水上高速船路線の計画が中止になった。昨年11月の市長選で、計画が争点の一つとなり、採算が見込めないなどと主張する反対派の鈴木健一・新市長(34)が当選したためだ。

     ◎

 空港会社では、落ち込む業績を回復させようと、様々な手立てを講じている。ターミナルビルで行っている四国八十八か所霊場巡りのお砂踏みに1万人、常滑市を会場に計画するアイアンマンレースに国内外の選手ら5000人―とイベントの集客目標を立て、収益アップにつなげようと躍起だ。

 空港に乗り入れる航空会社への支援も惜しまない。ベトナム、タイ航空が東北、北海道方面から中部空港経由で東南アジアへ向かう乗客を増やそうとしているのをサポートし、旅行代理店回りを一緒にしたりしている。ベトナム航空名古屋支店の森田順悟さん(45)は「こんな協力態勢は、他空港にはない」と驚く。

 地場産業・常滑焼の若手陶芸家も動き出した。リーダー格の冨本タケルさん(39)は「これからはアジアの時代。みずから動いて突破口を見つけたい」と今月10日、春節に合わせて台湾のデパートで開く展覧会に仲間ら7人と出発した。常滑焼を通して常滑市を知ってもらい、中部空港を活用し、海外から観光客を呼び込もうとの狙いもある。

     ◎

 中部空港の構想から携わってきた岐阜大学の竹内伝史教授(交通政策)は「空港建設のような巨大事業で黒字になるのは通常、5~10年後。中部は建設費を大幅に抑えるなどして、初年度から黒字になり、大きく見れば順調だ」と5年間を分析する。その上で「中部圏発展のため、成田、関西空港に逃げているこの地区の貨物や旅客の需要を取り戻し、2本目滑走路建設につなげるべきだ」と指摘する。

 一方、名古屋市立大の山田明教授(財政学)は「愛知万博に間に合うよう建設を急いだため、ここへ来て、需要減や前島問題などが噴出した。第2滑走路も現段階では考えにくい。空港は日本の真ん中にあり、内外の観光客を集めるなど地道に活性策を積み重ねることが大切だ」と話す。

 離陸から明日で5年。安定飛行に向けた試行錯誤は続く。

(2010年2月16日 読売新聞)

干陸地に生い茂る雑草、ごみ 7日に清掃大作戦 地元NPO法人 参加者を募集

諫早市の国営諫早湾干拓事業で造成された干拓地周辺に広がる干上がった土地(干陸地)で7日、大規模な清掃活動が行われる。主催するNPO法人「拓生会」(川田順一理事長)は参加者を募集している。

 干陸地は13年前の潮受け堤防閉め切りにより、水位が下がったことで湾奥周辺にできた計約600ヘクタールの空き地。川から流れてきた各種のごみのほか、雑草などが生い茂っているため古タイヤや電化製品などの不法投棄物も目立つという。清掃活動は今回で3回目。

 拓生会は、干陸地を地域振興に役立てようと一部区域を利用してコスモスなどを植えたり、花火大会なども主催。同会は「多くの人に諫早湾の今を知ってもらい、広大な干陸地の自然も体感してほしい」と話している。

 今回は同日午前9時から、湾北部の同市高来町の干陸地や市内中心部の本明川河川敷でも清掃活動を実施。集合場所は、小江干拓地近くの干陸地など計4カ所。小雨決行。拓生会=0957(27)7500。

=2010/02/04付 西日本新聞朝刊=

東海道新幹線 立ち往生 品川―小田原

 二十九日午後一時五十分ごろ、東海道新幹線の品川-小田原間で停電が発生、午後五時十三分に復旧するまで約三時間半、両駅間の上下線で計六本が立ち往生し、うち五本に乗車していた計約三千百人が缶詰め状態になった。計百九十本の新幹線が遅れ、乗客約十四万九千人に影響が出た。JR東海は同日夜、東京、名古屋、新大阪の三駅に宿泊用の新幹線を用意した。 

 新横浜-小田原間の横浜市神奈川区羽沢町で下りの架線が切れたのが停電の原因とみられ、線路横ののり面では垂れ下がった架線から出た火花が燃え移ったとみられる火災が発生。直前に通過したこだま659号の12号車パンタグラフが中ほどから折れて分解し、こだまの屋根や線路に落ちていた。JR東海などがパンタグラフとの関連や架線が切れた原因などを調べている。

 運転見合わせ区間は一時、上りの新大阪-東京間、下りの東京-岐阜羽島間まで拡大。最大四時間二十一分の遅れで、計五十六本が運休した。

 JR東海によると、小田原駅に停車していた新幹線の乗客が「具合が悪い」と訴え、救急車を呼び、現場で手当てを受けた。立ち往生したのは品川-新横浜間で一本、新横浜駅で一本、新横浜-小田原間の四本。

 国土交通省関東運輸局(横浜)は二十九日夜、JR東海に、原因究明と再発防止を命じる警告文書を出した。

 切れた架線は、パンタグラフに接触する架線「トロリ線」をつる「補助吊架(ちょうか)線」で交流二万五千ボルトの電圧がかかっている。JR東海は架線の仮復旧やパンタグラフの点検を終え送電を再開した。

 神奈川県警によると、同日午後一時五十分ごろ、沿線にある横浜市神奈川区の住民から「新幹線が通過した後に大きな音がして架線が切れ、火花が出ている」との通報があった。消防によると、沿線で発生した火災で、のり面の雑草約二百平方メートルが焼けた。