12月12日17時4分配信 毎日新聞
牛の力で農地を再生させませんか――。放置された農地の管理に手を焼く地主が増えているため、県は11月から雑草を食べる放牧牛の貸し出しを始めた。
利用方法は、(1)地主らが県畜産課に申し込む(2)耕作放棄地を電気を帯びた柵で囲って2頭の牛を放す(3)牛が雑草を餌として食べ、手入れができる――というもの。人手をかけずに済むのが最大の利点。景観の維持にもつながる。
貸出料は、柵代なども含めて2頭セットで月1万8000円。県畜産試験場(三木町下高岡)によると、1頭当たり1日20キロほどの雑草を食べる。約30アールの土地で実験したところ、1カ月でほとんどの雑草がなくなったという。
農業人口の高齢化や農作物価格の低迷で、県内の耕作放棄地は1995年に3818ヘクタールだったが、2005年には4755ヘクタールに拡大。県畜産課は「この事業を参考にして、農家と畜産家の間でも今回のような取り組みが広がり、耕作放棄地を少しでも減らすことができれば」と話している。【大久保昂】