サツマゴキブリ、旧日置川町で初確認 生息域、紀南全体へ

7月22日17時6分配信 紀伊民報

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【旧日置川町で初めて見つかったサツマゴキブリ(和歌山県白浜町日置で)】
 本来本州に生息しない南方系のサツマゴキブリ(オオゴキブリ科)が、和歌山県の」旧日置川町で初確認された。これまで旧白浜町やすさみ町などの沿岸で多数生息しているのが確認されており、生息域が紀南全体に広がりつつある。県立自然博物館は「最近の冬は暖かく、今後も県南部のどこで発見されても不思議ではない」と話している。
 今回発見されたのは、白浜町日置の町営テニスコート前の志原公園。6月中旬、町職員らが繁茂した雑草を刈り取っているときに見つけた。成虫と幼虫ともに確認。初めてサツマゴキブリを見たという男性職員(56)は「エイリアンのようだった。草が茂って人が入れなかったため、いままで人知れず生きてきたのだろう」と驚いていた。
 国内では南西諸島や九州南部、四国の足摺岬などに分布する在来昆虫。本州には生息しないと考えられていたが、1994年、すさみ町江住の日本童謡の園公園で、幼虫、成虫ともに多数生息しているのを南紀生物同好会会長の玉井済夫さん(70)が発見した。旧白浜町では99年から見つかりはじめ、京都大学の久保田信准教授(56)らも数カ所で確認している。2001年には由良町の白崎海洋公園でも多く生息しているのが見つかった。
 このほか、串本町古座の海岸や田辺市の新庄総合公園周辺からも報告例がある。最も古い記録では、1973年に田辺市学園の田辺高校で発見され、文化祭で準備した生花に混入していたと推測された。
 紀南での生息地が公園や造成地などに集中していることから、大きな整備で生息地から園芸植物を持ち込んだ際にプランターや葉の間に潜んで入ってきた可能性が高いという。
 県立自然博物館の的場績専門員(57)は「植物の移動だけでなく、家を解体したときの廃材や植物のせん定ごみなど何にでも交じってくる」と指摘している。
■サツマゴキブリ
 体長3~4センチ。害虫として嫌われているクロゴキブリやワモンゴキブリなどと違い、羽が退化して飛べない。体内で卵から幼虫がかえる卵胎生。普段は落ち葉や朽木、石の下でじっとしていて、屋内に入ることがほとんどない。

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