7月29日17時58分配信 聯合ニュース
【モスクワ28日聯合ニュース】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の夫人で、長男正男(ジョンナム)氏の母である故成恵琳(ソン・ヘリム)氏が埋葬されていると推定される共同墓地がモスクワ西部にある。
聯合ニュースの記者が28日に訪れたところ、早朝のせいか参拝者の姿は目につかなかった。墓地の管理人にコリアン女性の墓を捜していると話すと、わかっていると言わんばかりに付いて来るよう言われた。管理人は、約6万坪の墓地には高麗人の墓も多いが成恵琳氏の墓はよく知っているとし、案内を買って出た。
彼の足が止まった場所は、ソ連の独裁者スターリンの息子夫妻の墓からわずか10メートルの距離だった。墓碑には「成恵琳の墓」「1937年1月24日~2002年5月18日」と刻まれている。周辺の墓が西側に向かっているのとは異なり、成恵琳氏の墓は正反対で位置していた。また、封墳(土を盛り上げた墓)が地上に大きく露出している点もほかの墓と違う。ただ、墓とその周辺には雑草が茂っており、相当長い間訪れた人がいないという印象を受けた。
墓碑の裏には「墓主 金正男」とはっきり刻まれていた。墓地管理人は、「ロシア情報当局者からこの女性が北朝鮮の国家元首の夫人と聞いたが、なぜロシアの地に墓が設けられたか、気になる。おそらくその答えはロシア政府や北朝鮮だけが知っているはずだ」と話した。
元女優の成恵琳氏は1970年から金総書記と同居し、1年後に正男氏を産んだとされる。しかし、1974年に金総書記が金英淑(キム・ヨンスク)氏と結婚してからは精神的に不安定な状態になり、治療のためモスクワに渡った。2002年5月にモスクワの病院で死亡すると、遺体は北朝鮮人と見られる人が引き取り、モスクワ市内の共同墓地に埋葬したと伝えられた。
成恵琳氏は入院中は「オ・スンヒ」という仮名を使ったとされ、墓地管理事務所の死亡者名簿にも「オ・スンヒ」と記載されている。管理人は「死亡者名簿と墓碑が異なる点をみると、墓碑は埋葬されてから建てられたようだ」と話す。
正男氏が金総書記の後継者となっていた場合、成恵琳氏の墓地がどのように管理されていただろうかと気になった。北朝鮮事情に詳しいある関係者は、「墓が放置されていることは、現在の正男氏の立場を表しているとみていい」と話した。
一方、「成恵琳氏の墓」を確認するため、北朝鮮大使館に電話で問い合わせたが、「そうした質問には答えることができない」との返事だけが返ってきた。