【高校サッカー】矢板中央、無欲の快進撃で初の4強入り

 「信じられない。国立は私にとっても小さいころからのあこがれの地ですから」。高橋監督も興奮を抑えきれない。矢板中央が広島観音の県勢連覇の夢を打ち砕き、初の4強。栃木勢としても1985年度の宇都宮学園以来、24大会ぶりの国立切符だ。

 後半6分に先制を許してから逆襲が始まった。16分、途中出場のMF島野のゴールで追いつくと、30分にはMF益子直が左足でこん身の逆転弾。個々の能力では相手が上回っていたが、須藤主将は「最後まであきらめず、気持ちをひとつにできたことが逆転につながった」と胸を張った。

 前評判は決して高くなかった。夏の高校総体は県予選準々決勝で敗退。関東プリンスリーグも12チーム中11位に終わった。ふがいなさにショックを受け、10人以上の3年生が引退。「方向性が見えなくなり、バラバラになった」と高橋監督は振り返る。それでも残った3年生を中心にミーティングを重ね「ウチはスター選手がいない。全員でサッカーをしよう」と再結束。「ここまで成長してくれるとは」と指揮官も驚く快進撃を呼び込んでいる。

 この日の試合前、栃木県出身のお笑いコンビ「U字工事」から激励の動画メッセージと色紙が届いた。会場には高橋監督の母校である矢板東高の応援団も駆けつけた。地元の期待も高まる中、ほとんどが地元出身の“雑草軍団”は、夢舞台でも全員サッカーを貫くつもりだ。(森本利優)

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