洗剤使わず布で水拭き
夏休みやお盆、お彼岸の墓参りは、墓をお手入れする機会でもある。丁寧に掃除するなどして墓をきれいに長持ちさせることが大切だ。
墓に関する相談を行う「日本エンディングサポート協会」の佐々木悦子さんによると、墓石の汚れを放置すると、取れなくなったりひどくなったりするので、日頃からきれいにしておくのがよいという。「ただ、最近は、お墓の近くに住んでいない人も多い。墓参りの時にお手入れするのが一般的でしょう」と指摘する。段取りよく作業すれば、10~20分程度で終わる。
霊園などに着いたら手を洗って清め、故人にあいさつする意味で、お手入れの前に一礼して合掌する。
まずは敷地内の草取りやゴミ拾いから。雑草や植木がある場合は、小さな鎌や植木ばさみを持っていくとよい。雑草は抜き、植木は枝が隣に伸びないように切る。落ち葉などを拾い、枯れた花や燃えた線香のかすなども取り除く。ゴミ類は、お寺や霊園などに捨てる場所があるか確認し、なかったら持ち帰る。
続いて墓石の掃除。洗剤を使うとシミになることもあるので、水拭きが基本だ。手拭いなど柔らかい布を用意し、水で絞って汚れを拭く。たわしは傷つくので使わない。「水をかけると汚れを取りやすいが、地域などによっては、故人に対して失礼にあたると考え、水をかけず拭くだけというところもある。事前にお寺などに確認して」と佐々木さん。最後に墓石の表面を乾いた布で拭き取る。ぬれたままだと傷みやすいためだ。
「○○家」などの文字や彫刻の部分はもろいので慎重に布で拭くか、霧吹きをして柔らかい歯ブラシで優しくこする。文字に着色した墓の場合は、色がはがれないよう慎重に作業する。
花立てや水鉢の石を動かして接地面を洗う人もいるが、石同士がぶつかって傷つきやすいので避ける。花立ては外し、布や歯ブラシを使って水で洗おう。香炉も備え付けの皿がある場合は外して洗う。
お参りの際も気をつけたい点がある。お供え物は、墓石が汚れないように半紙などの上に置き、墓参りが終わったら持ち帰る。墓石販売「はせがわ」の鈴木章裕さんは「残したままにしておくと、鳥やネコが食べ散らかしたり、ふんをしたりする」と説明する。
お酒などの飲み物もシミになるので、墓石にかけない。缶も置きっぱなしにすると墓石に跡がつくので避ける。
お参り後、バケツに残った水を墓石などにまく人も多いが、「線香を多くたいた香炉は熱くなっており、そこに水がかかると、ひび割れる危険がある」と鈴木さん。
墓参りの際は、墓石にひび割れや傾き、落ちないシミなどがないかも確認しよう。「小さなひびでも、そのままにするとひどくなる。見つけたら、購入した石材店などに早めに相談し、必要に応じて補修を」と鈴木さんは助言する。