ふゆみずたんぼ:悲鳴、最強の雑草コナギ繁茂 大崎の農家、減収も /宮城

8月15日13時0分配信 毎日新聞

 ラムサール条約登録湿地の「蕪栗沼及び周辺木田」の一角をなす大崎市田尻伸萠(しんぽう)地区のふゆみずたんぼ(冬期湛水(たんすい)水田)が軒並み、湿地性雑草で繁茂しやすく「最強の雑草」と言われる「コナギ」に覆われ、減収が予想されている。同市農林振興課は現地調査して対応を検討する方針。
 ふゆみずたんぼは冬の間も田に水を張り、マガンやハクチョウなどの渡り鳥にねぐらや休み場を提供する一方、フンを肥料にして農薬や化学肥料を使わない自然共生型の農法。渡り鳥のフンで増えたイトミミズが出したフンがふわふわ泥の「トロトロ層」を形成し、雑草の種子を土深く沈めて日光をさえぎるため、雑草の繁茂を抑制する効果もある。
 一方、コナギは東アジアの湿地に分布するミズアオイ科の一年草。毎年、多数の種子で勢いよく増える雑草だ。
 今年のふゆみずたんぼは、コナギが中央部までびっしり。田の縁辺部だけだった昨年より明らかに繁茂した。
 枯れた稲株も多いようで株列はまばら。農家も打つ手なしの状況のようだ。来年は除草剤の使用を検討すべきだとの指摘もある。
 地元農協は、コナギに栄養分を奪われるなどの影響で収穫期の反収(10アール当たりの収穫量)は250~300キロと推測。一方、周辺の減農薬田は例年並みに500キロ程度の作柄見込み。
 伸萠では農林水産省の助成を受け10戸前後の農家が地元環境NPOなどから知見を伝授してもらい、7年前から3年間、ふゆみずたんぼの実証実験を行った。
 現在は計20ヘクタールで本格実施。希少価値のある米として東京の自然食品会社や地元の農業関係公社、農協などに高価格で出荷している。昨年は「全国環境保全型農業推進コンクール」で大賞(農水大臣賞)を受賞した。【小原博人】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA