【ワシントン共同】米環境保護局(EPA)は23日までに、日本でも使われている除草剤のアトラジンについて、安全性の再評価をすることを決めた。
体内に取り込まれた場合、微量でも胎児に低体重や先天異常を起こす可能性が最近の研究で指摘されていることが主な理由で、専門家の意見を聞き、来年にも規制強化が必要かどうか判断する。
アトラジンは米中西部を中心にトウモロコシ畑の雑草除去などに利用される米国で最もよく使われている農薬の一つ。AP通信によると、アトラジンは雨によって土壌から流出し、飲み水に利用されている河川に流れ込むケースがあることが最近分かった。
中西部150カ所を対象にしたEPAの飲み水調査では、直ちに人の健康に影響を与える量は検出されなかったが、微量でも胎児に影響を及ぼす恐れがあるとの研究報告があることから、安全性を見直すことにした。
発がん性や、水に溶け込んだ場合のカエルの奇形発生の恐れなど環境への影響も再評価する。
アトラジンは雄のラットの生殖器官の重量低下など、生物のホルモンの働きを乱す内分泌かく乱作用があることが指摘され、欧州で禁止の動きが広がった。米国でもブッシュ前政権下の2003年に安全性の見直しが行われたが、使用継続が許可されたという。