水路脇で雑草をモグモグ――。傾斜地など足場の悪い場所が多い農業用の用排水路周辺の除草対策として、県などがヤギを活用した実験を進めている。農家の高齢化で作業の担い手が減る中、低費用でできる対策として効果が確認されているという。
実験場所の一つ、前橋市五代町の農業用水路近くで13日、農業関係者を集めた説明会が開かれた。ホースでつながれたヤギと放牧されたヤギの計2匹が飼われ、周囲は草がまばら。ヤギの入れない隣の区画では、大人の背丈ほどの高さの雑草が密に茂っており、実験の効果がうかがえる。
農業用の用排水路は、傾斜のきつい場所もあり、除草作業中に水路に落ちてしまう高齢者もいるという。県中部農業事務所では、本来、山間地で生息するヤギなら、足場の悪い場所でも動き回れると判断。人件費と比べても費用はかからず、新たな担い手に選んだ。
実験は60万円の予算で、今年7月に開始。前橋市の五代町と西大室町で、飼いやすい雌のヤギ2匹ずつを放った。県が計算した設備費は2万9800円。ヤギは市内の牧場から1匹2万円で借りた。1日に1匹あたり2~3キロの雑草を食べており、同事務所は「十分な効果。ネットフェンスに絡まった雑草も、非常によく食べてくれる」と話す。
実験では、放されたヤギが用水路に落ちてしまうケースも。対策として、集団行動する性質を利用し、1匹を用水路に届かない範囲でホースにつなげたところ、もう1匹も用水路に近づかないようになったという。
(2009年11月14日 読売新聞)