キク茎壊疽病 県内初確認

県病害虫防除所(加西市)は30日、菊の茎や葉に色あせや壊死(えし)をもたらす「キク茎壊疽(えそ)病」が県内で初めて、南あわじ市の栽培農家で確認されたと発表した。ウイルス病で、同様の症状を起こす別のウイルスとは異なるといい、伝染が広がれば、大きな被害をもたらす可能性も。農家に対し、感染した株の処分やウイルスを媒介する虫の徹底防除を呼びかけている。

 県淡路農業技術センター(南あわじ市)によると、キク茎壊疽病は今年8月に比較的近い2戸の栽培ハウスで確認。「優花」と呼ばれる品種のみで、茎が茶色になり、葉が枯れるなどの症状が表れた。分析機器を持つ九州沖縄農業研究センターで調べた結果、2000年頃から淡路島内で発生している「キク壊疽病」とは違うウイルスが病原とわかった。

 ウイルスは害虫・ミカンキイロアザミウマが媒介。成虫は黄褐色で体長1・5~1・7ミリになり、一度ウイルスを取り込むと死ぬまで伝搬を続ける厄介な虫という。今回、ハウスでの発症率は全株数の1%以下だが、「風でも飛ばされる小さな虫だけに、感染拡大が心配」とセンター。薬剤防除に加え、〈1〉発病した株は抜き取り土中へ埋める〈2〉害虫が繁殖するハウス周辺の雑草も除去する――などの対策を掲げている。

 種子感染や土壌を通じた伝搬はないとみられるが、株の先端部を取って植える「挿し穂」も要注意という。淡路島内の菊の栽培面積は33ヘクタールで県内全体の4割を占める重要産地といい、疑わしい症状が出た株はセンター(0799・42・4880)か病害虫防除所(0790・47・1222)へ持ち込むよう求めている。

(2009年12月1日 読売新聞)

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