城端SA ヤギ歓待 東海北陸道 高原イメージ 5匹で開園

除草も仕事
 富山県南砺市の東海北陸自動車道の城端サービスエリア(SA)に17日、ヤギ園がオープンした。開設した中日本高速道路会社(名古屋市)によると、ヤギと触れあえる全国唯一のSAという。

 家族連れらに動物とのふれ合いを楽しんでもらうだけでなく、のり面などの雑草を食べさせて除草する“一石二鳥”効果が目的。草刈り機や刈り草運搬車両を使う回数も減り、同社は「二酸化炭素(CO2)削減効果もある」とアピールする。

 以前は均一的にSAを整備したが、豊かな自然環境や標高の高さなど地域の特徴を考慮。同SAには高原をイメージしてヤギ園を開設した。生後五カ月~二歳の五匹を約三百平方メートルに放牧。SAから近い世界遺産の五箇山集落にちなみ、合掌造り風のヤギ小屋も建てた。雪が積もる冬期は、ヤギを富山県内の農業高校に移す。

 開園式には、関係者や地元の幼稚園児ら約五十人が参加し、園児たちがそれぞれのヤギの名前を除幕。園内に入ってヤギに餌を与え「かわいい」と大はしゃぎだった。

 同社によると、高速道路の除草用に約二十年前から数年間、栃木県の東北自動車道でヤギを飼育した例がある。SAではなく高速道路脇で飼い、ドライバーらは近寄れなかったが、地元住民に開放していたという。

滞在型へサービス加速
 日本道路公団が二〇〇五年十月に民営化されてから、高速各社はトイレを含むSAの整備や人気店舗などの誘致を重視。土日祝日に上限千円となる「特別割引」が始まった〇九年三月以降、SAの売上高が堅調なこともサービス強化を加速させた。

 中日本高速道路会社は、SA内へのコンビニ店の出店を進め、カフェブームに乗り「スターバックスコーヒー」を出店させたSAも。尼御前SA(石川県加賀市)では二月、茶屋街のような外観にリニューアルされた二十四時間営業のコンビニ店がオープンした。

 駅弁をもじり、高速道路の「速」をとった「速弁」を商品化して販売したり、石川県出身の有名パティシエと提携したオリジナルのクッキーを売ったりするSAも。最近では北陸の食をPRするキャンペーンとして三~四月、有磯海SA(富山県魚津市)など十カ所で、地元産食材を使ったメニューを提供し、利用者に喜ばれた。

 社員から「公団時代は考えられなかった」との声が上がる取り組みに、中日本高速の金沢支社は「SAは高速道路会社が収益を上げることが認められている唯一の場所。売り上げを伸ばし、多くの人に立ち寄ってもらえるよう、魅力を高めている」と力を込める。

 中日本高速は今年、四十二億円を設備リニューアルに投入する計画で、東名高速道路の足柄SA下り線(静岡県小山町)には、国内の高速道路で初めて、ペットを同伴できるドッグカフェを導入。十店以上のレストランや店を集める複合商業施設にする。

 「従来の通過型SAから、滞在型SAに軸足を移す」と、中日本高速の矢野弘典会長。「高速SA自体が目的地」という大型連休の過ごし方が生まれるかも。 (宮本隆康、大島康介)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA