激震・陸山会事件:/下 不動産への執着 政界資金、ストック?

◇謎よぶ辺野古近隣購入
 米軍普天間飛行場の移設候補地となった沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブから南西約9キロ。サンゴ礁の海が美しい宜野座村漢那地区の沿岸に、小沢一郎民主党幹事長が保有する約5200平方メートルの雑草地がある。小沢氏は05年11月、この土地を地元の元村議から購入した。関係者によると、価格は5000万円程度。そこには上下水道もなく、付近の住民は「別荘地なら、他にふさわしい土地がいくらでもあるのに」と不思議がる。

 地元では憶測が憶測を呼んでいた。自公政権下での日米移設合意1カ月後の購入だったことから普天間との関連を疑う声がささやかれ、ある農家は「騒音対策として補償金が出る話がある」と指摘。一方、ある村議は隣接地域でのリゾート開発構想を挙げ、「地価高騰を見込んでいるのでは」と推測した。

 隣接地は三つの法人・個人が所有する。その1人は小沢氏の土地を「がけ下の砂浜をビーチに利用できる」と評価したものの「小沢氏側との交渉は行っていない」と明言した。

 小沢氏側と売り主の元村議を仲介したとされるのは、民主党の有力支援者でもある地元病院の理事長。親類が小沢氏の私設秘書を務め、自身も小沢氏と面識があるという。理事長は自らの仲介を否定しつつ、「小沢氏が別荘を建てるために沖縄本島東岸の土地を探していたと聞いた。(普天間やリゾート関連など)特別な意図はないはずだ」と説明した。

 小沢氏はなぜこの土地を購入したのか。結局、地元では誰にも明確に分からなかった。

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 「小沢氏にとって不動産はバクチみたいなもの」。小沢氏をよく知る元事務所関係者は、そう評した。

 小沢氏は東京都世田谷区深沢に自宅を購入した85年、ほど近い同区下馬に494平方メートルの土地建物を購入し、7カ月後に転売していた。当時、周辺の地価は高騰が続き、購入時に設定された根抵当権3億3000万円は、転売時には5億4000万円に。転売の結果、数億円の「差益」を得た可能性がある。

 73年には静岡県東伊豆町の原野約1190平方メートルを購入。35年以上、固定資産税だけを払い続ける。80年には妻名義で千葉県勝浦市と長野県茅野市に別荘を購入したが、近くの住民は「小沢さんが来たという話は聞いたことがない」という。

 資金管理団体「陸山会」も土地、マンションなど12物件、計9億2429万円相当を保有(08年末現在、総務省調べ)。小沢氏は、過去の記者会見で「秘書住居のため」と説明していたが、港区南青山のマンションが小沢氏の個人資産に転じていたことが2月に発覚した。

 ある検察関係者はこう推測する。「師匠の金丸信氏は有価証券の不正蓄財を脱税に問われた。金丸氏は『政界再編の軍資金』と主張したが、小沢氏は軍資金を不動産の形でストックしようとしたのかもしれない」。そして、こう付け加えた。「不動産なら(当局の)目に付きにくい」

 とはいえ、東京第5検察審査会が「起訴すべきだ」としたのは、秘書住居名目での04年10月の土地購入を同年分の政治資金収支報告書に記載しなかったという容疑。起訴相当議決という激震を招いたのは、小沢氏の不動産への「執着」だった。

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 坂本高志、杉本修作、鈴木一生、前谷宏が担当しました。

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