国と県が「絶滅危惧(きぐ)種」に認定するチョウ「ミヤマシジミ」が、高崎市倉渕町の烏川沿いで二十数匹確認されたことが分かった。調査した倉渕公民館によると、県内でまとまった生息数が現在確認できるのは、同所だけとみられる。同公民館は保護活動に乗り出すことを決め、六月十八日に生態報告会などを開催する。
ミヤマシジミは白色に黒などの模様が入った美しいチョウ。体長約一・五センチ、羽を広げた時の大きさは二~三センチと小さい。県北部の一部などで確認例もあったが、現在はまとまった生息確認は難しいとされる。
旧倉渕村で十数年前に一匹だけ見つかったが、これまでは採集を避けるために秘匿されてきた。元理科の教員で同公民館嘱託職員の岡田節男さん(62)らが約一年前から調査を始めた結果、一日で二十数匹を確認。このため、同公民館は「内密にするよりも、住民の協力を得て保護を徹底する時を迎えた」と判断し、公表を決めた。
生態報告会は同公民館で午後二時半から。岡田さんがミヤマシジミの画像を交えながらこれまでの調査を説明。日本チョウ類保全協会の松村行栄理事が助言と講評をする。
続いて生息地に移り、ミヤマシジミの幼虫が食べる低木樹「コマツナギ」の生育を促すために雑草取りをする。倉渕中学校の生徒や住民らが参加する予定。今後は住民による「守る会(仮称)」も発足させる。
岡田さんは「ミヤマシジミが生息できる倉渕の環境を守るため、住民や次世代の意識が高まってほしい」と意気込んでいる。
報告会などの参加希望は、同公民館=電027(378)3113=へ。 (菅原洋)