メガソーラー第1号、課題は雑草とネズミ

朝日新聞デジタル 2012年10月10日

メガソーラー(大規模太陽光発電)の県内第1号として太陽光パネルの設置工事が進む鹿沼市の農場跡地を、発電事業者の藤井産業(宇都宮市)が9日、報道機関などに公開した。11月末の運転開始を目指している。

ずらりと並んだ濃紺のパネルに、秋の日差しが反射して輝いていた。「鹿沼ソーラーファーム」と名付けられた同市磯町の県農業試験場鹿沼農場跡地。うち約2・7ヘクタールを、藤井産業が7月10日に県と基本協定を結び、約20年の契約で有償で借り受けて8月に着工した。1枚あたりの重さ19キロのシャープ製太陽光パネルが7137枚取り付けられる予定だが、ほぼ半分の設置工事が終わったという。

工事が完了すれば最大出力約1・7メガワット、一般家庭約490戸分にあたる1・8メガワット時の電力量を産みだす。国の「再生エネルギー全量買い取り制度」に基づき、1キロワット時あたり42円の固定価格で、すべて東京電力が買い取る方向で調整を進めている。停電時は一部を東電の送電網から切り離し、蓄電池に電気をためて地域の非常用電源などとして活用する。

この日は宇都宮大教育学部の松居誠一郎教授が学生約20人を引率して見学した。大学院修士課程の森下有さん(24)は「これだけ大規模なものを実際に見るのは初めて。余っている土地を有効活用する方法としてはいいのではないか」と話していた。

県地球温暖化対策課によると、県内でメガソーラー候補地となった63カ所のうち、10カ所で事業者が決まった。計画通りに発電が始まれば、およそ20メガワットの発電が見込めるという。

■対策、当面は試行錯誤

「鹿沼ソーラーファーム」は農地だった場所に太陽光パネルを設置しており、雑草やネズミへの対処といった課題も抱えている。県との契約で、契約終了時には農地として使える状態で返却しなければならないが、コスト面から舗装などの抜本的な対策が難しいためだ。

背の高い雑草が伸びれば、太陽光パネルへの日照が遮られる。枯れた雑草に火がつくと、地中からパネルに延びる電線が損傷する恐れもある。雑草が生えていればネズミやヘビなどの小動物が出入りし、電線をかみ切るかもしれない。「どんなことが起きるのか、現時点では想像もつかない」と藤井産業の大久保知宏・総務部長は話す。

地面にシートを敷いたり、砂利をまいたりといった通常の雑草対策は、維持や復旧に費用がかかるため断念した。パネルの土台として地面に打ったくいに、ネズミよけの丸い板を取り付けたり、宇都宮大農学部と共同で雑草除去の研究に乗り出したり、と当面は試行錯誤を続ける構えだ。(吉野太一郎)

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