8月19日17時3分配信 毎日新聞
九州農政局がまとめた07年度九州農業白書で、豊後高田市の居酒屋経営、近藤和文さん(35)らが田染地区で取り組む放牧が紹介されている。近藤さんは06年春、放牧実験に取り組む九州大学の教授が客として店を訪れたことをきっかけに興味を持ち、母牛を飼育して子牛を生産する繁殖農家になった。
「牛には触ったこともなかった」という近藤さんだが、県畜産試験場が牛を借し出す「レンタカウ」制度を利用して飼育をスタート。自分で牛を購入し、今は母牛と子牛の計4頭を飼育している。昨年には初めて子牛が生まれ、子牛の市場出荷も経験した。
田染地区は棚田が耕作放棄のため荒れ地になっていた。現在、近藤さんや別の農家が計4頭を放牧しており、棚田にはえた雑草が牛の餌になっている。近藤さんは週1回程度様子を見に来ては少量の配合飼料を与える程度。少ない労働力で健康な母牛を育てることができ、景観も回復して地域住民から喜ばれているという。【石田宗久】