7人展:自然への思い、造形に 三つの顔を持つ大崎の小関さん、オブジェ出品 /宮城

3月5日13時1分配信 毎日新聞

 ◇無農薬米栽培、ブナの森を守る市民活動家、そして…農民芸術家
 大崎市三本木の小関俊夫さん(61)は三つの顔を持つ。アイガモ農法で無農薬米を栽培し、ブナの森を守る市民活動家であり、農や自然への思いを造形にする農民芸術家でもある。8日まで、同市古川の市民ギャラリー緒絶の館で仲間と開いている「7人展」で、一対の鉄の立体オブジェ「森ノ天コモリ」を出品している。
 作品は鳴瀬川源流の船形山のブナの森の大樹をモチーフに、鉄の板と鉄筋の溶接・組み合わせで農閑期の4カ月をかけて仕上げた大作。落ち葉のじゅうたんの上に立つオブジェのてっぺんは、作品名にもした「てんこ盛り」のご飯を示す。鳴瀬川の水でつながる森と田の恵みの豊かさの象徴だ。
 「船形山のブナを守る会」の代表を務めて24年目。スギの拡大造林に走る林野庁のブナ乱伐を食い止め、広葉樹と針葉樹の混合林造りにいそしむ。田では「本物の米」を作りたいと無農薬栽培に挑戦して27年目。現在、アイガモ農法を取り入れているが、当初は雑草を手取りした篤農家。抽象的な作品には、そういう体験から悟った命のつながりへの思いが満ちている。
 若いころからの芸術へのあこがれと農へのいそしみが融合した農民芸術「小関ワールド」。作品展を開くようになって10年余り。秋の県芸術祭に出品するなどした作品は、薬莱山のふもとの加美町小野田のレストラン「ゲンジロウ」の雑木林に野外展示され、味わいのある雰囲気を出している。
 仲間の6人は▽早坂修さん(彫刻)▽佐藤丑彦さん(紙版画)▽新田亜紀子さん(金属)▽標葉千香子さん(絵画)▽黒沼理映さん(染衣布)▽橘川成美さん(写真)。7人展は入場無料。【小原博人】

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