7月9日9時19分配信 京都新聞
海浜植物の宝庫として知られる琵琶湖の新海浜(滋賀県彦根市)で近年、外来植物の繁茂が問題になっている。今年はハマヒルガオ群落がほぼ壊滅し、ハマエンドウやクロマツも成長を妨げられている。効果的な防除策がなく、保護に取り組む住民は頭を痛めている。
新海浜のハマヒルガオ群落は東西約100メートル、南北は最大40メートルほどにびっしりと花を咲かせ、県内屈指の生育地だった。しかし、一昨年ごろから北米原産の多年草コマツヨイグサがハマヒルガオに覆いかぶさるように繁茂し始め、住民によると今年はほとんど花が見られなかった。
ハマエンドウ、ハマゴウなどの海浜植物群落や防風林のクロマツ林には、北米原産の落葉高木ニセアカシアが侵入。成長が早く、枝葉を伸ばして在来の植物への日射を遮っている。住民が幼木の段階でのこぎりで切り倒しているが、地中深く根を張っているので根絶できないという。
海浜植物保護に取り組む近くの宇野道雄さん(74)は「以前は住民が雑草を刈っていたが、近年手を入れなくなったために広がった。海浜植物と混在しているので手で摘み取るしかなく手助けがほしい」と弱っている。
■琵琶湖の海浜植物に詳しい瀬戸口浩彰京都大人間・環境学研究科准教授の話
湖岸に外来植物が侵入する一因として、琵琶湖の水位が人為操作で安定するようになったことがあげられる。かつては時折、水位が上昇し、砂浜がかき乱されていたので、それらの植物は入りこめなかった。ハマヒルガオはけっこう強いので、タイミングをみて浜を耕運するなど人の手でかく乱することも一策では。