合鴨料理:食べて無農薬促進 農法の収益性改善、学生が商品化模索--福岡・近畿大学

近畿大学産業理工学部(福岡県飯塚市)の学生らが、アイガモ農法の先駆者・古野隆雄さん(59)=同県桂川町=の協力を得て、合鴨(あいがも)料理の商品化に取り組んでいる。市内の商店街で試験販売を重ね、やがてはレトルト加工した料理を全国に売り出す計画だ。学生や古野さんは「おいしい合鴨料理を通して、アイガモ農法が広まるきっかけにしたい」と話している。

 飯塚市の本町商店街で4、5日、合鴨料理が市民らに試験販売された。太ネギと合鴨肉を甘辛く味付けた丼(600円)と、合鴨飯と雑煮のセット(800円)。レシピは古野さんの妻、久美子さん(52)の直伝だ。商店街の前田精一会長は「独特の風味があるが、食欲がそそられておいしかった」と、丼をあっという間に平らげた。

 合鴨料理に取り組むのは、経営ビジネス学科の日高健准教授が指導する3年生のグループ。地元ならではの食材を発掘し広めるのが目的だ。リーダーの鬼塚徹治さん(21)は「合鴨は米作りに役立ち、食べてもおいしい。多くの人に知ってほしい」と話す。

 雑草や害虫を合鴨が食べ、無農薬で米と合鴨肉を同時生産するアイガモ農法。農法のことは知っていても、合鴨肉のおいしさを知る人は少ない。合鴨肉が売れずに困る農家もいるという。

 古野さんによると、合鴨肉は牛肉や豚肉よりさっぱりしていて、鶏より濃厚な味。試験販売では食べた人から「コクがあっておいしい」「ネギの量を増やして」などの声が寄せられており、学生らはこれらの意見を参考に、レシピを改良する考えだ。

 日高准教授は「合鴨肉の商品価値が高まれば、農家の収入も増え、合鴨農法に取り組む人がもっと増えるはずだ」と指摘。古野さんも「味という切り口から、アイガモ農法の可能性がさらに広がる」と期待する。

 試験販売は18、19両日にも飯塚市の商店街で予定されている。【伊藤奈々恵】

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