兵庫県立播磨農業高校(加西市北条町東高室)の生徒たちが有機農法で栽培した酒米「山田錦」を使って醸造した特別純米酒「玉丘のしずく」の販売が21日、市内の酒店などで始まった。同校と地元の酒造会社、酒販売店の三者が5年前からコラボレーションして限定の日本酒を製造販売。生徒たちは「自分たちが作った農産物が加工され、商品として販売されることに生産者としてやりがいを感じる」と喜んでいる。
同校では今年度、農業経営科作物・農業機械コースの2、3年生約30人が授業で山田錦の有機栽培に取り組んだ。約30アールの田んぼから約1・1トンを生産した。田植えの後、通常より1・5倍の深さになるまで水を張ったり、米ぬかをまいたりして雑草の成長を抑制するなど、できるだけ自然に近い農法で育てたという。
収穫した酒米を地元で消費してもらおうと、平成18年から同市内の酒造会社「富久錦」と酒販売店「四季創庫モリ」とタイアップして特別純米酒を製造、販売している。
ラベルのイラストは農業経営・園芸科1年の山本みづほさん(16)の作品。玉丘の豊かな自然の中で、はぐくまれたコメをイメージして珠付きのひもがコメの形になるようにデザインしたという。題字は馬場正人校長が受け持った。
3年の小林周平さん(17)は「地産地消が実現し、社会参加を実感した。一生懸命に作ったコメが酒になり、消費者に喜んでもらっていると思うと生産者としてうれしい」と話していた。
特別純米酒は、やや辛口ですっきりした味わい。720ミリリットル(税込み1400円)は720本、1・8リットル(同2800円)は300本の限定販売。問い合わせは富久錦((電)0790・48・2111)。