公有地に無償で神社、「違憲」と最高裁

北海道砂川市が神社に無料で土地を貸しているのは「政教分離違反」とした最高裁の判断について、県内でも公有地が神社に無償提供されていたことが、各自治体などへの取材でわかった。改めて調査を始めた市町もあるが、「小さいほこらは多すぎて調べきれない」「どこまでが違憲なのか」と戸惑いの声も出ている。

(花房吾早子)

 徳島地裁(徳島市徳島町1丁目)には昨年5月まで、御倉(み・くら)稲荷社というほこらがあった。1876(明治9)年、今の場所に当時の高知裁判所徳島支庁が開設された時にはすでにあったらしい。江戸時代、この辺りに家老の屋敷があり、ほこらが守り神だったという説もある。

 地裁によると、「国有財産を管理する立場として神社があるのは問題」と1987年に県議会で指摘があったのがきっかけ。20年余りをへて徳島市眉山町の春日神社への移転が決まったという。 岡山秀則宮司は「政教分離の原則に照らせば仕方ない。でも、信仰対象がなくなることは文化を壊すこと。それなら引き取ろうと思った」と話す。

 徳島市津田町1丁目に「お亀神社」と札のついたほこらがある。ここも市有地だ。昨年12月、「雑草を放置しておくのは防災の観点から問題ではないか」と市に問い合わせがあり判明した。市管財課によると、元々は旧斎津村(現・津田地区)の土地。1926年の合併時に市が引き継いだ。同課は、問題がないか調べる方針だ。

 県内24市町村で、公有地に神社があることを把握しているのは、22日現在で6市町。その他の自治体でも、土地台帳をもとに確認するなど調査を始めている。

 道ばたや山中には名もないようなほこらが多く、市町村は把握しきれないようだ。阿南市では、14の公民館を拠点に地域のほこらを洗い出す案も出ている。板野町も調査中だが、担当者は「かつて集落の人々で建てて、守ってきたものが違憲だと言われたら戸惑う」と話す。

 県神社庁によると、県内の神社は現在1306社。名もないほこらは含まれず、公有地にある神社の数の統計はないという。

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