◇いわき、南会津で発症例
トマトの生育障害を引き起こす「トマト黄化葉巻(おうかはまき)病」のウイルスを運ぶタバココナジラミの確認地域が県内で拡大している。既に9市町村で見つかり、いわき市と南会津町では発症例もある。県や市町村が注意を呼び掛けているが、トマトは家庭菜園で栽培されることも多く、指導や注意喚起が行き届かない。【関雄輔】
県循環型農業課によると、タバココナジラミは体長約0・8ミリのアブラムシに近い昆虫。以前から国内にいたが、ウイルスを運ぶ別のタイプの外来種が県内では06年にいわき市で初めて見つかった。これまでに県北を除く全地域で確認されている。
ウイルスを持ったものが寄生すると、葉が黄色く変色し、巻いたり縮まったりなどの症状が現れる。開花はしても実がならない。07年10月にいわき市、作年8月に南会津町で感染が確認されたが、早期の発見のため、周辺への拡大はなかった。
外来のタバココナジラミは2種類おり、県内では農薬に強い「タイプQ」が多い。雑草や花卉(かき)にも寄生する。寒さに弱く、冬季はハウスなどで越冬しているとみられる。
県では▽苗を植える際に有無をチェック▽防虫ネットなどによる防除▽感染株は抜き取り、ビニール袋で密封▽栽培施設周辺の雑草除去--などを農家に求めている。
同課は「大発生してもおかしくない。地域ぐるみで拡大を防ぐ取り組みが必要。家庭菜園でも異状なトマトがあれば連絡してほしい」と話している。