東南アジア、台湾、九州などに生息する熱帯や亜熱帯性の「ベニトンボ」(体長4センチ)が25日夕、四万十市荒川の中筋川沿いで確認された。近年、県西部で目撃情報が相次いでいるが、大半が秋に見られており、この時期では珍しいという。
同市の市民団体「トンボと自然を考える会」会員で元市職員の山崎憲男さん(62)(同市有岡)が、釣りをしていて1匹を見つけた。田んぼに近い水路脇の雑草で、鮮やかな紅色の羽を休めたり、縄張りをするように水辺の周辺を飛び交ったりしていた。
山崎さんはかつて、三原村の池や、四万十市の横瀬川と四万十川河川敷の池で目撃しているが、いずれも10月だったといい、「5月に見られるのは、県西部でも個体数が増え、定着している証し。近くで羽化した可能性が高い」と話している。
ベニトンボは、全身が紅色で、黒い尾の先、胸部の黒いしま模様が特徴。九州の広い範囲で定着し、四国では2001年に大正町(現・四万十町)で初めて確認。その後、四万十川本流、土佐清水市でも目撃されている。地球温暖化の影響で分布地域が北上しているとの見方もある。
(2010年5月28日 読売新聞)