政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は1日、国の出先機関の事務・権限を廃止・地方移譲する考え方と、組織の見直しの方向を中間報告した。今後、関係省庁に見解を求めた上で、出先機関の抜本改革についてヒアリングなどを交えた議論を進め、2008年12月に第2次勧告をまとめる。
中間報告ではまず、国の出先機関について、膨大な予算で大規模な公共事業などを行うものの、中央から物理的に離れ事務・権限が出先の長に委任されているため、国会や大臣などのチェック機能が働きにくい実態を指摘。結果的に「無駄遣いや官製談合などの構造的なガバナンス(統治)の欠陥が問われる事態になった」と批難し、抜本的な見直しと改革の必要性を訴えた。
報告の中心は、廃止・民営化や地方移譲する事務・権限の基準と、それに伴う組織の見直しの考え方。また、地方移譲の際に必要な措置や、組織の見直しに伴う人員・財源の取り扱いについて示し、具体的な権限・組織の在り方の議論を国と地方自治体の双方に強く要請した。
地方移譲の際に必要な措置では、災害などの緊急時に機動的に対応できる仕組みの構築の検討を求めている。これは「大規模災害時に国の役割を的確に果たすには地域に一定の規模と能力を備えた機関を設置する必要がある」と、国土交通省をはじめとする多くの省庁が主張していることを踏まえたもの。本府省に緊急事態への対応機能を集約した遊軍的な組織を設け、都道府県などと連携・協力して機動的に対応するべきだとしている。
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