9月3日15時59分配信 京都新聞
柿の特産地として知られる京都市西京区大枝地域で、柿畑を猿の食害から守ろうと、山林と柿農園の間に牛を放牧する試みが行われている。例年、夏場に収穫前の柿が食べられてしまう被害が続いていたが、7月に繁殖用の黒毛和牛を放して以降、猿の出没が減少。農家は「今年は無事に収穫できそう」と喜んでいる。
牛の放牧は牛が雑草を食べることで山林と人里の境界地帯の見晴らしが良くなり、猿などの獣が近寄りにくくなる効果が期待される。近年、綾部市や舞鶴市など京都府北部で取り入れる地域が増えており、京都市と市農協大枝支部が市内で初めての導入を決めた。
担い手がなく荒れていた山すその柿畑2ヘクタールを電気柵で囲い、7月10日に府畜産技術センター碇高原牧場(京丹後市)から雌牛2頭を借り受けて放した。牛がむしゃむしゃと草を食べて歩き回り、人の背丈ほど伸びていた雑草がなくなっていくにつれ、連日現れていた猿が徐々に来なくなった。
市農協大枝支部の西小路光喜支部長(79)は「昨年の収穫時には猿が見逃した柿しか残っていないという農家が多かった。今年は被害がほとんどなく、豊富に実っている」と話し、柿を守る牛の存在感に目を細めている。