苦労した野菜うまい! 日向の農業小学校

野菜作りを通して、農業や食の大切さを学んでもらおうと、地元有志が設立した日向市の財光寺農業小学校で12日、今年最後の収穫祭があった。4月の開校から苗植えや肥料やり、雑草取りに汗を流してきた子どもたち。自分たちが育てた大根や白菜、ネギなどを掘り出すと笑顔を見せていた=写真。

 元小学校長の二見順雄さんが、地域住民の協力を得て設けた農業小学校。財光寺小と財光寺南小の5、6年生計20人が1人33平方メートルの個人農園と990平方メートルの集団農場で、地元農家の指導も受けながら野菜を育ててきた。月2回の集団活動のほかに、自発的に作業に来ていた児童も少なくなかったという。

 この日、「土に触れ、汗を流し、すてきな体験をした。自然の偉大さ、また怖さも知りました」と書かれた修了証も、二見校長から児童に手渡された。財光寺南小5年の石川海里君は「夏は草がジャングルみたいで雑草取りが大変だったが、自分で作った野菜はうまい」。

 農業小学校という試みは県内初めてで、来年は「入学生」を増やし、再び4月に開校する予定だ。

合鴨料理:食べて無農薬促進 農法の収益性改善、学生が商品化模索--福岡・近畿大学

近畿大学産業理工学部(福岡県飯塚市)の学生らが、アイガモ農法の先駆者・古野隆雄さん(59)=同県桂川町=の協力を得て、合鴨(あいがも)料理の商品化に取り組んでいる。市内の商店街で試験販売を重ね、やがてはレトルト加工した料理を全国に売り出す計画だ。学生や古野さんは「おいしい合鴨料理を通して、アイガモ農法が広まるきっかけにしたい」と話している。

 飯塚市の本町商店街で4、5日、合鴨料理が市民らに試験販売された。太ネギと合鴨肉を甘辛く味付けた丼(600円)と、合鴨飯と雑煮のセット(800円)。レシピは古野さんの妻、久美子さん(52)の直伝だ。商店街の前田精一会長は「独特の風味があるが、食欲がそそられておいしかった」と、丼をあっという間に平らげた。

 合鴨料理に取り組むのは、経営ビジネス学科の日高健准教授が指導する3年生のグループ。地元ならではの食材を発掘し広めるのが目的だ。リーダーの鬼塚徹治さん(21)は「合鴨は米作りに役立ち、食べてもおいしい。多くの人に知ってほしい」と話す。

 雑草や害虫を合鴨が食べ、無農薬で米と合鴨肉を同時生産するアイガモ農法。農法のことは知っていても、合鴨肉のおいしさを知る人は少ない。合鴨肉が売れずに困る農家もいるという。

 古野さんによると、合鴨肉は牛肉や豚肉よりさっぱりしていて、鶏より濃厚な味。試験販売では食べた人から「コクがあっておいしい」「ネギの量を増やして」などの声が寄せられており、学生らはこれらの意見を参考に、レシピを改良する考えだ。

 日高准教授は「合鴨肉の商品価値が高まれば、農家の収入も増え、合鴨農法に取り組む人がもっと増えるはずだ」と指摘。古野さんも「味という切り口から、アイガモ農法の可能性がさらに広がる」と期待する。

 試験販売は18、19両日にも飯塚市の商店街で予定されている。【伊藤奈々恵】

0.7度・・・河原に霜輝く 四万十市

県内は8日、各地で最低気温が氷点下を記録するなど7日に続いて冷え込んだ。最低気温が0・7度(平年3・5度)となった四万十市中村では、市街地周辺でも広い範囲で霜が降り、四万十川河川敷では雑草や芝生が朝の光に白く輝いた。

 高知地方気象台によると、最低気温は梼原町が氷点下2・7度(平年0・8度)、いの町本川が同2・2度(0度)で今季一番の冷え込み。四万十町窪川は同1・8度(1・1度)、高知市は3・3度(4・1度)だった。

(2009年12月9日 読売新聞)

みまもり隊:火災相次ぐ平城宮跡で始動 せんとくんも出陣式に--奈良 /奈良

奈良市の平城宮跡で雑草火災が相次いでいることを受け、県警やNPO法人「平城宮跡サポートネットワーク」など10団体がつくった「平城宮跡みまもり隊」が、宮跡内で初めてパトロール活動を展開した。

 出陣式には、県警のマスコット・ナポくんや平城遷都1300年祭の公式キャラクター「せんとくん」も参加。約80人の参加者が3班に分かれ、大極殿の周囲など3コースを約30分かけて見て回った。

 同ネットワークの伊部和徳理事長は「バーベキューや花火などで火を使った時に、不始末で火災が起きている可能性もあるので、パトロール活動でしっかり注意するよう呼びかけていきたい」と話している。【大森治幸】

庭に「ウッドチップ」をまきましょう

 暑い夏の間はなかなかできなかった庭仕事やら大がかりな家事。やっと涼しくなってから……と思っていたら、もう師走の大掃除の季節が、もうそこまで。そこで、今回からはDIYや日曜大工から、ウチの中の掃除まで。「庭仕事、ウチ仕事」と題して、世界各地からお届けします。(海外書き人クラブお世話係・柳沢有紀夫)

 こんなことを言ったら、東京の小さなマンションに住んでいた十年前の自分に殴られること必至だが、広い庭のある家に住むのも善し悪しである。

 いや、オーストラリアに暮らし始めてすぐのころは、「やっぱり国土の広いオーストラアに住むんだから、それなりの広さの庭は欲しいよねえ」と思い描き、実際に庭どころかプール付きの一戸建てを自分と家族に奮発した。土地の広さ600平方メートル超で、少し郊外に行くと敷地面積数千平方メートルの家がゴロゴロ転がっているブリスベンでは特別広いほうではないが、キャッチボールやサッカーのシュート練習くらいなら充分にできる。子育て世代の私にとってはまさに夢のウチだった。

 ところが、ブリスベンは亜熱帯だった。東京の温帯とは植物の生育するスピードが段違い。放っておくと、「広大な土地に立つ、庭付き一戸建て」が「大ジャングルの小さな家」になりかねないので、木々の剪定から芝刈りまでやることがあれこれある。

 その一つが「ウッドチップ撒き」だ。果樹園や花壇は何もしないでそのままにしていると、雑草がすくすくと伸びて、登山技術で言うところの「藪こぎ」をしないと奥に進めなくなる。かと言って、花壇ならまだしも、せっかく有機栽培している果樹園に除草剤をまくのも気が引ける。そこで、ウッドチップの出番だ。

 ウッドチップはその名の通り、木材を小片に削ったもの。これを厚さ10センチくらい撒くと、雑草が生えにくくなるし、生えても抜きやすくなるのだ。

 ということで数年前に庭のあちこちに撒いたのだが、何しろ自然の素材なので、年月とともに風化・分解され、土に還ってしまう。そこで、ふたたび撒くことにしたのだが……。

 家の立っている部分と芝生の上にはまかないので、必要な場所はざっと見積もって60平方メートル。以前まいたものが多少残っているので、厚さ8センチ分を新たに追加することにして計算したら、約5立方メートル必要になる。もちろん自家用車で運べる量ではないから、造園の素材を売っている店からトラックで配達してもらう。そして子ども三人も含めて、家族総出で庭にまく。……といっても、なんたって5立方メートルだ。バケツだけでは埒が明かないので、手押しの一輪車を購入した。

 木の種類はいろいろあるが、わが家ではシロアリが嫌うというヒノキのモノを使っている。

「モモの花見の名所に」自治会が開墾、整地、植栽/姶良町

姶良町平松のサボーランドパーク姶良で11月28日、触田自治会の住民ら約40人がハナモモの苗150本を植栽した。公園西側の県有地4300平方メートルを同自治会が借り受け、地元の特定非営利活動法人(NPO法人)山・里・まち整備室(窪田健三理事長)とともに9月から総出で開墾、整地していた。
 住民らは、かごしまみどりの基金の助成で購入したハナモモ120本と個人から譲り受けた30本を、道路沿いの4カ所に分け植栽。周辺には種から育てた菜の花やルーピンも順調に育っている。
 赤や白、ピンクなど5色の花が、2年後には見ごろになる。触田上の栄一也自治会長(67)は「モモの花見ができる場所は県内でも少ない。住民の憩いの場として名所になってほしい」と話す。
 同公園は、1993年8月1日の集中豪雨で崩壊した姶良ニュータウン西側のがけを、県が公園として復旧した。東半分は同町が管理し整備されているが、同自治会側の西半分は、開園から13年以上が経過し、雑草が生い茂り荒れていた。

平城宮跡みまもり隊:「ひとまろくん」と一緒に 10団体結成--奈良 /奈良

奈良市の平城宮跡で雑草火災が相次いでいることを受けて、県警や市消防局、NPO法人「平城宮跡サポートネットワーク」など10団体が、宮跡内をパトロールする「平城宮跡みまもり隊」を結成した。

 文化庁によると、宮跡内の雑草火災は今年に入って8件発生している。同隊は約30人で、12月5日に出陣式を行い、活動をスタートさせる。

 また、奈良市の女性デザイナーに依頼して「火気の元 火、止まろ!」の意味を込めたキャラクター「ひとまろくん」を考案。帽子やベストにこれをプリントし、パトロールに使用する。

 県文化財保存課の石川幸司課長は「いずれは県民の方にも参加してもらい、平城宮跡を皆で守る機運が高まってほしい」と期待している。【大森治幸】

キク茎壊疽病 県内初確認

県病害虫防除所(加西市)は30日、菊の茎や葉に色あせや壊死(えし)をもたらす「キク茎壊疽(えそ)病」が県内で初めて、南あわじ市の栽培農家で確認されたと発表した。ウイルス病で、同様の症状を起こす別のウイルスとは異なるといい、伝染が広がれば、大きな被害をもたらす可能性も。農家に対し、感染した株の処分やウイルスを媒介する虫の徹底防除を呼びかけている。

 県淡路農業技術センター(南あわじ市)によると、キク茎壊疽病は今年8月に比較的近い2戸の栽培ハウスで確認。「優花」と呼ばれる品種のみで、茎が茶色になり、葉が枯れるなどの症状が表れた。分析機器を持つ九州沖縄農業研究センターで調べた結果、2000年頃から淡路島内で発生している「キク壊疽病」とは違うウイルスが病原とわかった。

 ウイルスは害虫・ミカンキイロアザミウマが媒介。成虫は黄褐色で体長1・5~1・7ミリになり、一度ウイルスを取り込むと死ぬまで伝搬を続ける厄介な虫という。今回、ハウスでの発症率は全株数の1%以下だが、「風でも飛ばされる小さな虫だけに、感染拡大が心配」とセンター。薬剤防除に加え、〈1〉発病した株は抜き取り土中へ埋める〈2〉害虫が繁殖するハウス周辺の雑草も除去する――などの対策を掲げている。

 種子感染や土壌を通じた伝搬はないとみられるが、株の先端部を取って植える「挿し穂」も要注意という。淡路島内の菊の栽培面積は33ヘクタールで県内全体の4割を占める重要産地といい、疑わしい症状が出た株はセンター(0799・42・4880)か病害虫防除所(0790・47・1222)へ持ち込むよう求めている。

(2009年12月1日 読売新聞)

興毅因縁対決制し2階級制覇/ボクシング

<プロボクシング:WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇29日◇さいたまスーパーアリーナ

 「亀田3兄弟」の長男亀田興毅(23=亀田)が、王者内藤大助(35=宮田)を3-0の判定で破り、新王者となった。序盤から軽快なフットワークで有効打を重ね、WBA世界ライトフライ級に続く、日本のジム所属選手7人目の2階級制覇を達成した。弟大毅(20)が前代未聞の反則を繰り返し、内藤に敗れてから2年。弟の雪辱を果たし、内藤との因縁に区切りをつけた。プロデビュー以来初の日本人との対決を制した興毅の戦績は22勝(14KO)。

 12回終了を告げるゴングを聞いた興毅が、一直線にコーナーへと走りだした。勝利を確信してポストによじ登ると、次男大毅と三男和毅が駆け寄ってきた。ジャッジ2人が6ポイント差をつける判定で撃破したことが確定すると、リングにうつぶせに倒れ、マットをたたいて泣いた。「いや、もう、今は言葉がないです」。「因縁」の相手を倒しての2階級制覇は、格別だった。

 「宿命」の対決だった。07年10月、内藤の初防衛戦で弟大毅が挑戦した。投げなど度重なる反則行為で大差の判定負け。デビュー12戦全勝で世界王者になるなど順風満帆だった興毅も、内藤と大毅の世界戦を境に人生が一変した。大毅のセコンドを務めていたためJBCから厳重戒告処分、当時所属した協栄ジムからは3カ月の試合自粛処分を受けた。世間からの激しいバッシングも浴びた。08年夏には亀田家でジムを設立したが、試合がなかなか決まらない日々が続いた。

 そんな中で迎えた08年秋、興毅が1度だけ、禁を破った。苦しい日々に、心が折れそうになった。「筋肉がつぶれるから」と飲酒をしない興毅が、カラオケをしながらカクテルや酎ハイを約15杯、流し込んだという。だが気持ちはまったく晴れなかった。「うまくなかったな」。酔いながら、ふと昔の自分が頭に浮かんだ。「『もともと雑草で大阪から来たんや。まだ22歳。しゃーない』って思えたんや」。周囲の目を気にせず、一家で世界王者を目指していた大阪時代。そのころの、がむしゃらさを思い出した。「おれにはボクシングしかないんや」。そこから、再出発の日々が始まった。

 だからこそ、倒すのではなく、勝ちに行った。「3回KO」を予告していたが、実際は足を使ったアウトボクシングで内藤を翻弄(ほんろう)した。2回には鼻から出血させるなど、的確にパンチを当て続けた。8回終了時で3人のジャッジが興毅を支持。「KOしたかったな。でも、勝つのが一番やったから。集中して余計なこと考えんようにしてた」。大毅の敵討ちをしての2階級制覇達成のため、亀田家復活のため、興毅の心はぶれなかった。「1カ月前は大毅の敵を取らなあかんと思ってたけど、直前は『勝ちたい』気持ちだけやった」。自分の距離を守り、内藤の猛攻をかわしきった。

 試合後の会見。因縁には決着がついたかと聞かれると、興毅は「きわどい判定じゃないしな」と笑顔で“終結”を宣言。「王者にはありがとうございますって言いたい。目上の人やしな」と敬意を表した。次戦は内藤が2年前に勝った同級暫定王者のポンサクレック(タイ)と対戦の可能性がある。「内藤選手ともう1回? やらんよ。もっと先にいかなあかんから。1つの通過点」と、目標とする3階級制覇に目を向けた。会見の最後、興毅は「今日は甘いものをいっぱい食べます! スイーツの食べ歩きでもしようかなあ」と、きれいな顔をくしゃくしゃにして笑った。前回の世界戦から1075日。2本目のベルトを手にし、すべてから解放された興毅がようやく、心の底から笑った。【浜本卓也】

化学肥料頼らぬ マメ科植物研究

愛知教育大(刈谷市)の菅沼教生(のり・お)教授(52)=植物生理学=を中心とする研究グループによる、マメ科植物の窒素取り込みに関する研究論文が、26日付の英国の世界的な科学誌ネイチャーに掲載される。菅沼教授は「この研究で化学肥料を使わずに作物を大きく育てられるようになり、食糧増産や環境保全に役立つ可能性がある」とみている。教育系大学の同大の教員の研究が同誌に掲載された例は、確認できる過去約20年はないといい、同大関係者を喜ばせている。(岡本真幸)

 ネイチャーに今回掲載された論文のテーマは「根粒菌の共生窒素固定に必須な宿主マメ科植物遺伝子の発見と機能解明」。責任者の菅沼教授ら同大を含む7研究機関の研究者19人が参加する共同研究に基づいて執筆された。
 菅沼教授によると、マメ科植物は、共生するバクテリアの根粒菌を通じて空気中から取り入れる窒素を利用して育つことができる。大豆にもその能力があるが、農産物として十分な大きさに育てるために化学的に合成した窒素肥料を使っているという。
 ただ、化学肥料を作るのに石油エネルギーを用いることがエネルギー消費による地球温暖化、畑にまいた肥料が土に残って川や海に流れることが赤潮などの海洋汚染の原因になっているという。
 そこで、化学肥料を使わずに大きく育てて収量を上げるため、今回の研究では、根粒菌による窒素取り入れのメカニズムを遺伝子レベルで解明することをめざした。マメ科で日本在来種の雑草ミヤコグサを使い、正常な野生種を科学的に処理して作った根粒があるが窒素を取り入れる能力を失った変異体で、共生している根粒菌のどの遺伝子が窒素の取り入れにかかわっているかを調べ、その遺伝子と能力を特定した。
 この研究を発展させることで、将来的にはイネなどの植物にも応用でき、日本の食糧生産にも貢献する可能性があるという。菅沼教授は「窒素取り入れ能力を他の植物に持たせるには、現時点では遺伝子組み換えの方法しかない。今回の研究成果は、他の植物への応用の基礎になる」と話している。